出版年月は少し前となりますが、ぜひ一冊目の経営者本としてご紹介させていただきす。
皆さん、リクルート社というと、どのようなイメージを思い浮かべますか?
・若い社員が自由闊達に働いている会社
・社員が若くして独立する会社
・社員がベンチャー企業などに転職し、役員として活躍している会社
・人材・組織活性化が得意な会社
といった人材輩出企業のようなイメージが挙がるかと思いますが、本書はリクルートの創業者である江副氏が、創業期からの主要なポイントについて振り返っており、リクルートという会社が何故このようなイメージを想起させるような組織風土を醸成するに至ったのか、理解を深めることができます。
江副氏の時代に講じられてきた人材・組織活性化施策そのものについては、当時とは時代背景・経済情勢・社会情勢などが大きく変わっているため、現在では「う~ん」というものも少なくないのですが、これらはあくまで表面的なもの(当時の事例)として捉えるべきであり、この書籍の最も大きなポイントは、「施策の根底に流れている理念(考え方)について、経営者としてどのように考えていたのか」を学ぶことにあり、特に以下のような点について、多くの気づきがあるのではないかと考えています。
・組織風土は、経営者自らの企業としてありたい姿(経営理念)を体現することで形成される
・人材・組織活性化は自然にそうなるのではなく、様々な創意工夫の賜物である
また、本書では、
・江副氏が影響を受けた経営者の考え方・言葉・行動・立ち振る舞い
が記述されており、こちらも参考になるかと思われます。
よく「リクルートは若い社員がたくさんいるから元気があって当然だ(若い社員→元気な会社)」というような構図(因果関係)の指摘を聞くことがありますが、「決してそうではない」ということを感じ取ることができます。
一方で、本書は「私は世の中からベンチャー起業家のはしりと見られていたが、創業時は起業家精神という立派な大志があったわけではなく、学生時代のアルバイトの延長で“お金”と“自由”が欲しいと思っていただけであった」というくだりから始まるなど、いかにも創業者らしい(!?)ざっくばらんな内容まで記述されており、面白く読むことができるのではないかと思っております。
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Consultant Eye - N
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